弁護士活動日誌

ペダル付き電動バイク(モペット)を購入しました(Vol.1)

私事で恐縮ですが、ペダル付き電動バイクを購入しました。通勤等で利用しており、とても快適で重宝しています。しかし、購入するにあたって、商品の性能等の特徴のみならず、法的規制の観点から検討しなければならない点がありました。

 そこで、数回にわたりペダル付き電動バイク等について、法的問題等を取り上げようと思います。

一般的には、シェアリングサービス等で有名な電動キックボードのほうが身近なものかと思います。見た目は異なりますが、道路交通法上は、ペダル付き電動バイクも電動キックボードも基本的に同じ区分になります(電動アシスト自転車は除く。)。今回は、自転車型のものについてみていきます。

「モペット」「フル電動自転車」等の名称で販売されているのを、インターネットなどで見かけたりする方も多いと思います。しかし、『公道走行可』と記載されていても、ナンバープレートや自賠責保険の加入が義務付けられているうえに、保安部品を新たに装着しなければ適法に走行できないものがあるため注意が必要です。まずは、道路交通法の区分についてみていきます。

1 道路交通法上の区分

 ひと口に電気の力が働く自転車といっても、法的には次のように分けることもできます。①第1種(第2種)原動機付自転車、②特定小型原動機付自転車、③電動アシスト自転車の3つです。②は、道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号)の施行に伴い新設されました。

大きな特徴をあげると次のようになります。

 免許ナンバープレートヘルメット
普通原動機付自転車必要必要義務
特定小型原動機付自転車不要(ただし16歳以上のみ)必要努力義務
電動アシスト自転車不要不要努力義務

少しだけ詳しくみていきます。

(1)電動アシスト自転車

 電動アシスト自転車は、法律上の正式名称ではありません。自転車は、道路交通法2条1項第11の2号で定義されています。同括弧書の、「原動機を用いるものにあつては、人の力を補うため原動機を用いるものであつて内閣府令で定める基準に該当するもの」が一般的に電動アシスト自転車と呼ばれるものです。同内閣府令である道路交通法施行規則1条の3が同基準を定めています。警察署等では、「駆動補助機付自転車」と呼んでいます。

(2)普通原動機付自転車、特定小型原動機付自転車

いずれも、電動機の力だけで走行できる車両です。その区分は、次回以降詳しくみていきます。

2 購入時の問題

(1)爆速魔改造チャリの問題

上記の基準に満たさない車両は、道路交通法上の駆動補助機付自転車ではないということです。

昨今社会問題となっていることのひとつに、爆速魔改造チャリとよばれる違法自転車が、一般道を高速度で走行していることがあげられます。

時速24キロを超えると電動アシストが効かなくなるものでなければ、電動アシスト自転車ではありません(道路交通法施行規則参照)。適法な電動アシスト自転車は、センサーがペダルの回転速度や踏み込む力を感知し、その情報に基づいて、コントローラがモーターの出力を決定しています。

この仕組みを改造して、時速24キロを超えても電動アシストするようにしたものが、いわゆる爆速魔改造チャリです。

このように改造された車両は、道路交通法上の自転車ではありません。公道で走行させること自体が違法となるため、注意が必要です。

(2)違法モペット

「人の力を補うため原動機を用いる」のが電動アシスト自転車です。電動のみで走行する車両は、道路交通法の自転車ではありません。異様に早い自転車の多くは、この基準を満たしておらず公道上で走行させると違法となります。

これらの車両を公道で走行させるためには、ナンバープレートの取得や自賠責保険への加入が必要となります。また、(特定小型原付でなければ、)走行時にヘルメット着用をする必要があります。

(3)(1)(2)のような車両は、保険に加入していないことが多いうえに、仮に保険に加入していても、原則として保険金が支払わることはありません。

仮に事故を起こしてしまったら、被害者にとっても加害者にとってもつらい結果になります。

不幸な被害者を生まないために、また自分が不幸な加害者にならないためにも、このような車両の購入はやめるようお勧めします。

(4)違法な車両を購入しないために

ア 電動アシスト自転車の場合

電動アシスト自転車には、型式認定というものがあります(道路交通法施行規則第39条の3参照)。型式について、国家公安委員会の認定を受けた場合、製作事業者等は、型式認定に係る電動アシスト自転車にTSマークを表示することができます。TSマークが付いている電動アシスト自転車を選ぶと安心です。何よりも、適法であると確信したうえでなければ自分で改造しないことや、安心できる業者から購入することをお勧めします。

イ 電動モペット

 インターネット上で、「公道走行可能等」と記載された電動モペットが販売されていることがありますが、そのままでは走行できないことがあるので注意が必要です。基準に適合するよう、自分で保安部品等を揃える必要がある商品等も市場に出回っています。大手ECサイト上でもこのような車両が販売されていることがあるので注意が必要です。

 そこで、自ら基準に適合するような保安部品を揃えることが出来る人以外は、安心できる業者が運営する店舗等で購入することをお勧めします。

ウ 業者によっては、自賠責への加入が確認できなければ商品を発送しない等の仕組みをとっていることがあります。このような業者であれば一定程度信頼できるともいえます。ご参考にしてください。

これらの電気の力が働く自転車は、とても快適で楽しい乗り物です。自分自身のためにも、また他人に迷惑をかけないように、適法な車両の購入を強くおすすめします。

3 次回は、第1種原動機付自転車と、特定小型原動機付自転車の違いについて詳しくお話しようと思います。

以上

弁護士 井上 信

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